2025年の第一四半期は、ゲームトークン業界にとって厳しい時期でした。
トークン生成イベント(TGE)後の価格下落が相次ぎ、多くのプロジェクトが苦戦。しかし、そんな中でも興味深い新しいローンチモデルが登場しており、今後のスタンダードになる可能性も秘めています。
この記事では、Q1に登場した3つの注目すべきローンチ方式を詳しく紹介します。
目次
① Meteoraのローンチプールによるフェアローンチ

キーワードは「平等な参加」「先行者利益なし」「公正な分配」。
従来のTGEでは、VC(ベンチャーキャピタル)やインフルエンサーが安く大量に仕込んだ後、一般ユーザーに高値で売りつける構造が一般的でした。しかしMeteoraが導入した「フェアローンチ」では、この構造が根本から覆されています。
この仕組みでは、誰でも参加可能で、早い者勝ちではなく、ローンチプールにUSDCなどを預け入れれば、トークンが参加額に応じて比例配分されます。
メリットとして、VCやチームによる先行者利益が排除され、一般参加者が公平にトークンを取得でき、ガス代競争などのストレスも軽減されます。一方で、初値の決定が市場依存であるため、流動性の確保や売り圧への対策が必要です。
MEMORIAのALBERT(AL)トークンは、Ethereumブロックチェーン上で発行されたNFTコレクションの一部です。
このコレクションは全1,888点で構成されており、各NFTはAIエージェントおよび分散型ノードとして機能します。
これにより、保有者はMemoria L1チェーンのインフラをサポートし、独自の特典を享受できます。
Memoria自体は、ゲームとミーム文化を融合させた分散型プラットフォームであり、プレイヤーとホストの双方が参加を通じて報酬を得る「Host-to-Earn」モデルを採用しています。
② 完全コミュニティ主導:100%トークン所有モデル(例:WC、HATCH)

キーワードは「分散型」「チーム報酬ゼロ」「真のWeb3」。
このモデルでは、トークンの100%が最初からコミュニティに配布されます。プロジェクトチームや投資家がトークンを保有せず、真に分散型な運営を目指しています。
トークン配布はエアドロップやオンチェーン活動に基づき、ガバナンスや運営もコミュニティによる意思決定が中心となります。チームは単なる開発・運営の提供者という立ち位置になります。
この方式の利点は、完全な分散化が実現でき、ユーザーのエンゲージメントが高まり、信頼性と透明性が増すことです。ただし、リーダー不在で方向性が不明確になるリスクや、ガバナンスが機能しない場合の崩壊リスクには注意が必要です。
Wildcardは、Web3ゲームプロジェクトで、2025年3月に独自のトークンである$WCを発表しました。
このトークンは、総供給量88,888,888枚の全てがコミュニティに割り当てられ、チーム、投資家、創設者、アドバイザーへの割り当てはありません。
最初のエアドロップでは、総供給量の20%にあたる17,777,777枚が配布されました。
このエアドロップは、2025年3月10日に行われたスナップショットに基づき、Wildpass NFTの保有者や過去2年間にWildcardエコシステムに積極的に参加したユーザーを対象としています。
③ 低フロートDEXファーストローンチ(例:QUEST)

https://dexscreener.com/ethereum/0x31a43eb48625239d0bd2d2213a6202b3eecbecf2
キーワードは「初期供給少量」「価格安定戦略」「段階的流通」。
従来のTGEは「一気に大量にリリース→価格暴落」が定番でしたが、QUESTなどはこの問題に新しいアプローチで挑んでいます。
この方式では、初期にはごく少量のトークンをDEXに流通させ、そこで価格が市場によって形成された後、時間をかけて追加のトークンを段階的に供給していきます。
これにより、売り圧が少なく価格の安定性が高まり、初期のコミュニティが強くなり、外部資金による価格操作もされにくくなります。ただし、フロートが低すぎると価格が不安定になりやすく、初期価格が高すぎる場合にはその後の下落が大きくなることもあるため、設計には慎重さが求められます。
$QUESTは、EthereumベースのMMORPG「RavenQuest」のネイティブトークンです。
プレイヤーは$QUESTを使用して、ペット、コスメティックアイテム、エフォートポーションなどの特別なアイテムを購入できます。
クエストの完了やゲーム内での名声(Fame)の獲得により、$QUESTを得ることができます。
ゲーム内通貨であるシルバーを$QUESTに交換することも可能です。
まとめ:新時代のローンチモデルは分散性と公平性を重視
モデル | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
フェアローンチ | ローンチプールで公平配分 | VC不在、価格操作されにくい | 流動性次第で価格乱高下 |
完全コミュニティ型 | チームがトークンを保有しない | 真の分散、透明性高 | ガバナンス不全リスク |
DEXファースト・低フロート | 段階的にトークン放出 | 売り圧少、初期価格安定 | 価格が極端に上下しやすい |
2025年は、トークン設計において「誰が持っているのか」「どんな経路で市場に出るのか」がより注目される年になっています。
これらの新しいローンチモデルが今後の主流になる可能性も十分あり、プロジェクト選定時にはローンチ形式にも目を向けていきたいところです。